今は、のどかな森のほとり、ひとりの兵士が死んでいる。
1時間前、兵士は生きていて闘っていた。
2時間前、兵士はひとり道に迷っていた。
…10日前、恋人にプロポーズをし将来を誓い合った。


 こんな書き出しで始まるこの作品。
 先日書いた「ブッタとシッタカブッタ」シリーズの著者である
小泉吉宏さんが書いています。
 中身は表紙などを含めてもたった20ページ程の作品です。
それぞれのページも、ちょっとしたイラストと短い言葉が
書かれているだけのとてもシンプルな作りになっています。
正直に言いまして、「派手さ」はカケラもありません。

 ただ、言葉の一つ一つがとてつもなく重いです。
 倒れている戦死した一人の兵士の人生を、いわば「巻き戻し」
する形で、1時間前、2時間前、10日前、といったように
書かれているわけなのですが、これがまた胸に重く響きます。

 それ以上については、ここでは触れません。
 ただ、読んでいて「命」というのがどういうものなのか、
改めて考えました。一度は自分で命を投げ捨てようとしただけに、
「生きている」というその言葉の意味を改めて考えました。
この本は出来れば買って読んで欲しいですけど、そうでなくても
図書館で読むとか、本屋にあれば立ち読みでもいいですから、
ぜひ読んでみていただきたいなぁと思っているわけです。

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