作家・太田光
2003年12月26日 買ったのは先週ですが、爆笑問題太田さんの「パラレルな
世紀への跳躍」を買いました。テレビブロスに毎回連載されている
エッセイを収録したもので、内容としては「三三七拍子」の
続編にあたるということです。
「お笑い芸人の書いたエッセイなんてつまらないよ」って
おっしゃる世間の皆々様、その偏見のメガネをちょっとだけ
外してページをめくってみて下さい。なかなか読ませる一冊です。
タバコやファンタジー、イラク戦争の是非や住基ネット問題など
とても幅広く扱っていますが、その中でちょっと気になった
部分についてちょっとばかり書いてみましょう。
「童話」について。(小タイトルは忘れました)
童話のラストは大抵が「そして、その後一生幸せに暮らしました」と
なっている。この「その後、一生幸せに暮らしました」とは
どういうことだろう? 誰もが「幸せに暮らしたい」と
願い続けて生きている。しかし、人生にはいろいろな
障害があり、なかなか一生を幸せに暮らすことは出来ない。
童話の主人公達は大抵が少年少女だ。人生のほんの
出だしである一時期に起きた「あるドラマ・出来事」を
乗り越えた後は、一生幸せに暮らすという風に描かれている。
主人公達は少年期を過ぎ、青年になり、中年になり、
老年になり、やがて死に到る。その中でも、数え切れないくらいの
ドラマや出来事があるはずなのだが、「一生幸せに暮らしました」との
一文で終わっている。童話の主人公達はそういう「一生幸せに暮らす」
秘訣を見つけたというのだろうか。
結局のところ、我々は最後のこの一文を見たいために
童話を読んでいるのではないだろうか。どうやって悪い魔法使いを
やっつけたのかではなく、どうやって王子様と巡り合ったのではなく、
主人公達が「一生幸せに暮らすことが出来た」という
その事実を確認したいがために童話を読んでいるのではないか……。
ちょっと、この部分を読んだ時には、はたと膝を打ちました。
これだけに限らず、太田さんのエッセイは「あっ、そうか」と
気づかされることが多いので、毎回読んでいて非常に楽しいのですが。
文章自体はきっかけに過ぎません。ただ、そこから
思考を進めるのに貴重な足がかりを与えてくれます。
エッセイを元にいろいろと考えるのは、ひょっとしたら
一種の快楽かもしれません。現実に、本を読んだ後に
「ああでもない、こうでもない」と考えるのは楽しいし、
何より心地よいです。自分自身の中で何かが広がっていくような、
そんな感覚を感じるわけです。
文体はやや堅いですが、ぜひぜひ「作家・太田光」の
魅力とその世界を感じとって見てください。損はしませんよ。
世紀への跳躍」を買いました。テレビブロスに毎回連載されている
エッセイを収録したもので、内容としては「三三七拍子」の
続編にあたるということです。
「お笑い芸人の書いたエッセイなんてつまらないよ」って
おっしゃる世間の皆々様、その偏見のメガネをちょっとだけ
外してページをめくってみて下さい。なかなか読ませる一冊です。
タバコやファンタジー、イラク戦争の是非や住基ネット問題など
とても幅広く扱っていますが、その中でちょっと気になった
部分についてちょっとばかり書いてみましょう。
「童話」について。(小タイトルは忘れました)
童話のラストは大抵が「そして、その後一生幸せに暮らしました」と
なっている。この「その後、一生幸せに暮らしました」とは
どういうことだろう? 誰もが「幸せに暮らしたい」と
願い続けて生きている。しかし、人生にはいろいろな
障害があり、なかなか一生を幸せに暮らすことは出来ない。
童話の主人公達は大抵が少年少女だ。人生のほんの
出だしである一時期に起きた「あるドラマ・出来事」を
乗り越えた後は、一生幸せに暮らすという風に描かれている。
主人公達は少年期を過ぎ、青年になり、中年になり、
老年になり、やがて死に到る。その中でも、数え切れないくらいの
ドラマや出来事があるはずなのだが、「一生幸せに暮らしました」との
一文で終わっている。童話の主人公達はそういう「一生幸せに暮らす」
秘訣を見つけたというのだろうか。
結局のところ、我々は最後のこの一文を見たいために
童話を読んでいるのではないだろうか。どうやって悪い魔法使いを
やっつけたのかではなく、どうやって王子様と巡り合ったのではなく、
主人公達が「一生幸せに暮らすことが出来た」という
その事実を確認したいがために童話を読んでいるのではないか……。
ちょっと、この部分を読んだ時には、はたと膝を打ちました。
これだけに限らず、太田さんのエッセイは「あっ、そうか」と
気づかされることが多いので、毎回読んでいて非常に楽しいのですが。
文章自体はきっかけに過ぎません。ただ、そこから
思考を進めるのに貴重な足がかりを与えてくれます。
エッセイを元にいろいろと考えるのは、ひょっとしたら
一種の快楽かもしれません。現実に、本を読んだ後に
「ああでもない、こうでもない」と考えるのは楽しいし、
何より心地よいです。自分自身の中で何かが広がっていくような、
そんな感覚を感じるわけです。
文体はやや堅いですが、ぜひぜひ「作家・太田光」の
魅力とその世界を感じとって見てください。損はしませんよ。
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