戦争の映像

2003年8月10日
 毎年、8月になると太平洋戦争の映像特集がいろいろな
放送局で放送されます。様々な歴史的解釈が存在し、
今も「あの戦争とは何だったのか?」という論争が繰り
広げられています。侵略戦争だったのか、独立自衛のための
戦いだったのか、植民地解放戦争だったのか、それとも、
火遊びの果てに引っ込みのつかないまま行われた惨劇だったのか。
論客それぞれの思想やイデオロギーが色濃く反映され、
いつも論争は平行線。
 ああいった論争を見ていると、お互い「見たくないもの、
認めたくないもの」があるんだろうなぁ、と思っています。
いろいろな側面があることを認めたくないのだなぁ、と。

 そういった論争を横目に、僕は特集で放送される映像を
見ているわけです。こうやって放送される映像だって、
制作者の思想めいたものが表現されているわけで、その辺は
少しばかり割り引いて見ないといけないんでしょうけども。

 写真や映像は何よりも雄弁です。戦争の語り部という人は
何人もいますけども、それらをある意味では雄に超える
強い印象を僕らに与えます。真珠湾攻撃の映像であったり、
シンガポールの攻防であったり、ミッドウェーやガダルカナルの
死闘であったり、サイパンのバンザイクリフであったり。
同時多発テロの時にも書きましたけど、全てはカメラの前で
起きているのだ、と。銃弾の一発、大砲の一発ごとに
名も知らぬ誰かの命が消え去っていくのを僕らはどれだけ
想像し、そして実感しているんだろうかとも。

 「あの戦争」を聖戦だという人にも、侵略戦争だという人にも、
または趣味のミリタリー展示場だという人にも誰にも
与するつもりはないです。ただ、歴史の事実として、
「戦争」があったということを忘れずに、そしてまた
何か学ぶべき事がないだろうかと思いながら、映像を見続けています。

 それだけに、学校の授業で近現代史の時間がほとんどないのは
どうも歯がゆい気がするんです。確かに、歴史的評価が
定まっていないとは言いながらも、考える時間ときっかけを
与える必要があるような気がするのですが。

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