最近読んでいる小説にこんなやりとりがありました。

 彼は弱い人間だった。
 傷つくことを恐れ、あらゆるものから逃げ続けた。
親からも、友達からも、恋人からも、仕事からも、故郷からも。
 彼は失うことを恐れていた。
 人望を、友人を、財産を、思い出を。
 だから、自分自身だけはどうしても守りたかった。
 これ以上、失いたくない。傷つきたくない。
 そんな怯えの色に毎日が塗りつぶされる。

 そんな彼を見て、神はこう言った。
「なんと情けない男だ。阻害を乗り越えず、追い求めず、
自分の手が届くものにしか手を出さないなど。ただの怠慢ではないか」
 低く重く響く声に、彼は肩を震わせる。
 分かっているのだ。それは痛いほど。
 それを解決するだけのきっかけが今の彼には存在していないのだ。

 ……と、これを見ていて、なんだか身につまされる思いが。
まるで何か自分のことをビシバシ言われてるような。
神様のセリフがどうにもこうにも痛すぎる。さすが神様容赦ない。
 小説の登場人物に自分自身を投影することってのは
ままあることなんだそうですけども、現実世界でも小説の世界でも
罵倒されっぱなしの役ってキツイよなぁ。小説の世界でも
ダメ人間扱いじゃ。スーパースターとは言わないけども、
せめて普通の人になりたいなぁ。(はて、ついこないだ
「普通の人なんているわけないじゃん」って書いたばっかりなのにな)

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