北海道室蘭市の南端にある地球岬――
高校三年生の夏、寺西雅也はそこでバンド仲間の学友を殺した。
彼の反抗と露見しないまま一四年と数カ月が過ぎ、
寺西雅也は国内最高のCDセールスを記録するロックグループ
<ラ・テッラ・ブルゥ(青い地球)>のリーダーとして、
絶大な人気を誇るカリスマへと成長していた。
だが、時効成立間際になって、関係者が次々と謎の死を遂げた。
彼らの成功物語の執筆を委託された朝比奈耕作が、事件の謎を追う!

(裏表紙あらすじより引用)


 DVDを返しに行った帰りに立ち寄ったブックマーケットで
偶然見かけた小説。ほとんどタイトルの「地球岬」という3文字
だけで、売値の420円を払ったようなもんで。日本で出版されて
いる本なんて星の数ほどあるけども、「地球岬の殺人」なんて
僕の住んでる室蘭市にとってこれほど直球のタイトルがあったで
ありましょうか。もう即買いですよ。

 それで早速読んでみたんですが、小説としてはつまらないです。
というか、ミステリーは全然読んでいないのでそう思うだけなの
かもしれませんが、僕にはどうも。きっちり読み込めばそれなりに
面白いのかもしれませんけど、残念ながら。
巻末に「推理作家・朝比奈耕作シリーズ」ということで、かなり
多くの冊数がまとめられております。うーん。

 で、読んでいて妙に目に止まったのが「お前、室蘭の人間じゃ
ないよな。このヨソ者が」ってセリフ。なぜか事あることに、
「室蘭の人間じゃない」ってことを登場人物達が口走るわけです。

 いやいやいや、室蘭ってそんなに閉鎖的な町かなぁ。そりゃ
脚色は必要だけども、そこまで地元意識が強い感じはないけど。
仮にあったとしてもそれは「室蘭」であるかどうかじゃなくて、
住んでいる「町」がどこかといった「沢意識」の方が強いって。
「〜町」って単位なわけ。
 それは室蘭が企業城下町で「新日鉄」「日鋼」「函館どつく」
「楢崎造船」「新日石」とかの社宅が置かれた場所がそれぞれ
別だったって所に由来してるんだけど。「室蘭であるかどうか」
というのは、案外気にしないものなんだよね。

 もう一つ気になった点というか、これは小ネタ。
 登場する「ラ・テッラ・ブルゥ」のメンバーがいた高校より
室蘭港を望むという写真が載っているんですが、そこにあるのは
中学校であって、高校ではございません。

「地球岬を会場にロックのライブをやる」という地元の人間には
ある意味革命的な提案をあっさりやってのける、このバンドの
メンバーはある意味で「室蘭っぽくない」思考の持ち主です。
(おや、そうなると「室蘭港の倉庫でジャズコンサート」ってのも
ある意味革命的なのかもなぁー)

 自分もそうですが、室蘭に住んでいる人間はなかなか地元の
魅力に気が付かないもので、教えてもらわないと分からない難儀な
ものでありまして。「室蘭やきとり」しかり「カレーラーメン」
しかり「中学生のジャズビックバンド」しかり「安田顕」しかり。

 それにしても、このバンド。作中ではGLAYと肩を並べる超有名
バンドとして紹介されております。この本が出版されたのは
1999年8月。その当時の人気なんて、もう口にするのも
今更なくらい有名で有名で。
 そんな名門バンドと肩を並べる存在が室蘭にあったってだけでも
一見の価値があるかもしれません。ねぇ、お客さん。

 たださ、そのバンドのNo.1ヒット曲のタイトルが「慕情」って
ずいぶん渋すぎるタイトルじゃござんせんか?

 さらに、後書きに紹介されている「なかよしラーメン東町店」も
「室蘭生活協同組合東雲ストア」も現在は閉店になっております。
悪しからず。まぁー、6年前だし仕方ないか。

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